もっぱら外出する機会が少なくなってしまったこの頃。生活のリズムも変わり、それと同時に洋服に求められるものも少しずつ変わってきているように思えます。もちろん外出する為の一張羅も欲しいけど、家でリラックスできる着心地の良い服への比重も高くなってきた。そんな事を感じながら作ったシャツ”Fly Front Utility Shirts “をリリースします。
いつもの 部屋着の上に
みなさん家で過ごす時って何着てますか?いわゆる部屋着的な楽でリラックスしていられる服をチョイスしていると思うんですが、意外と部屋着ってちょうど良いものって無くないですか?上下スウェットは楽だけどほぼパジャマと変わらない、急な来客があった時にちょっと困る。とは言え外出時と同じおしゃれ着はなんだか気疲れするし…その結果、私たちはジーンズ、軍パン、チノパンにTシャツやサーマル、ミリタリーのスリーピングシャツを着るスタイルが定着しています。ですが、この季節だと肌寒くもう一枚羽織りたいと思う事が多々あるのです。今まではそのもう一枚が古着のネルシャツやP社のフリースだったんですが、なんというか鏡に映った自分を見るとベタベタすぎてなんか違うんだよなーと思い、ここにシックリとハマって尚且つ大人な1着を作ろうと考えたのが、今回のシャツをリリースしようと思ったきっかけです。
シンプルなデザインと1つだけのポケット
日常着として使うには躊躇なく手に取れるものにしたい。極力シンプルでどんなアイテムにも合わせられるデザインのものが必要だと考えました。その答えは、さまざまなディテールを削ぎ落とすような作業。モデル名にもなっている”Fly Front =フライフロント”は比翼仕立てという意味。シャツのボタンを留めるとトップボタン以外は全て隠れてしまう為、とてもシンプルでスタイリッシュなシャツに早変わりさせることが可能です。
もう1つ特徴的なのが胸ポケットの形状。脇から胸の中心まで長方形に伸びるポケットは、どんなサイズのスマホでも収納可能。その他、屈んだ時に滑り落ちてしまう事が多い、サングラスやメガネを横方向にすっぽりと収納する事ができる大きさに設定。今までは諦めていた様々な小物が入れられるマルチポケットになりました。
シルエット
リラックスする為の洋服ならばタイトなフィット感はもっての外。どこにも窮屈さを与えない、まるでローブを羽織っているかのようなゆったりとした着心地を目指しました。いつものTシャツやサーマルにサラッと羽織って、シャツジャケットのような使い方もオススメです。
拘りの素材(生地)とボタン
シンプルなデザインだけに、雰囲気の良し悪しを決めるのは素材。数多くの素材の中から厳選し、今回はイタリア製のウールコーデュロイを選びました。まるでカシミヤのようなしっとり感とフワフワな肌触りは、素肌の上に着たくなるほど。前回のスモック同様私たちミングでは、一年を通してウールの優れた機能性を推奨しています。
ボタンには、最近なかなか入手できなくなってきている本水牛ボタンを贅沢に使用。作り物ではない自然な素材感にも目を向けていただきたいです。
シンプルながら着心地や使い勝手にフォーカスを当てた1着は、まさに私たち自身が求めていたもの。最近はほぼ毎日のようにこのシャツを着ていますが、着用を繰り返すたびに愛着が湧いてくるのを日々感じています。
そして忘れてはいけないのが、前回のエプロンとスモック然り、今回のシャツも北海道札幌市にある縫製工場にて1つ1つ丁寧に作られているという事。パターン作成からサイズグレーディングそして縫製と、すべてのプロセスを形にしてくれた職人の皆様には感謝の念に堪えません。北海道でのモノづくりのクオリティを、良質なものを求める皆様に体感して頂きたいです。
次回のコラムでは、コチラのシャツを使ったコーディネートサンプルをご紹介します。引き続きお付き合いいただけると嬉しいです!
MING 岩谷