COLUMN

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2022.06.11

いよいよ羊毛の洗い作業

風もなく美しく晴れた空が広がるとある日、私たちMINGは羊毛を糸にするための前段階、”羊毛の洗い作業” のお手伝いをしに北海道十勝にいました。前回のコラムに書いたように、広大な土地でのびのびと育つたくさんの可愛い羊たちに触れ合いすっかりほのぼの癒されていましたが、今回の目的はその羊毛の洗い作業!その羊たちの刈った毛を綺麗に洗い羊毛を糸にするための大切な作業です。さて早速作業開始です。

刈り取った1頭分の羊毛がびっしり入った大きな袋。その袋が保管庫から次々と運ばれてきます。(※この写真は保管庫の写真。作業後は山羊くん一家が小屋前でのんびりしていました。)弾力があってもっふりとした羊毛。しっかり封を閉めてその袋を次から次へ車に運び入れていきます。油分もしっかり感じられましたが特にきつい匂いはありません。私自身、刈り取られたままの羊毛を触ったのは初めて。当たり前なんですが、よく手芸屋さんなんかで目にする「羊毛フェルト」のふかふか羊毛とは違って、まさに羊そのままの野生味溢れる毛。1頭からこんなに取れるんだ、と驚いたのと、この羊毛があんなに綺麗なセーターになったのか〜と何だか不思議な感覚になりました。そこからしばらく車を走らせて、そしてようやく洗い作業の場所へ到着。そこは広大な牧場で、羊の次はたくさんの牛たちが出迎えてくれました。

たくさんの羊毛が詰まった袋から羊毛を出し、まずはしっかりお湯につけてすすいでいきます。一瞬、今からこれを全部洗うのか!?という思いがよぎってしまいましたが、大きなシンクにどんどん羊毛をしずめていきます。

次は羊毛用の洗剤でつけ置き。刈り取ったままの羊毛には、藁や草、泥や糞がついているので手作業で確認します。気の遠くなるような地味な作業ですがこの手間がセーターの仕上がりに大きく左右するので、根気良くゴミを取り除き丁寧に洗います。

しばらくつけ置きをしたら流し、もう一度すすぎます。みるみる羊毛も綺麗になっていきます。未洗いではかなり油分を感じるのですが、洗いを繰り返すと油分も適度に取れてふわふわとした手触りになってきました。同じ作業をひたすら繰り返すこと約4時間。

水を切って脱水をかけたらようやく乾燥の作業。一晩このまま干します。

翌朝!さらによく乾燥させるために、羊毛をほぐして広げていきます。ほぐしながら取りきれていなかった汚れを取り除きます。

今回お邪魔した十勝の作業場は、陽を遮るものがない広大な場所。なので日光も燦々と降り注ぎます。天気も良く風も無かったので広げた羊毛もみるみるふかふかになっていきました。

今回の作業はここまで。約30kg分の羊毛を洗って乾燥させる、という言葉にすると10文字程度で終わってしまう作業なんですがかなりの労力や時間がかかりました。でも今回参加させてもらったのは羊毛の量も作業工程もほんの一部。長らく沢山の羊毛が廃棄されてしまっていた背景が少しわかったような気がします。この後、髪を解くように羊毛の絡まりをとり繊維の向きを整えていく”梳毛”、そしてヨリをかけ糸にしていく”紡ぐ”作業。そしてようやく”編み”の作業です。

 

セーターとしてお店に並び、私たちが身に纏うまでにどれだけの人の手が加わっているのかを肌で感じられてとても貴重な体験ができました。「物ができるまでとても手間がかかっている」ということや「作れる人が少なくなっている」「1日に○着しか作れない」ということは頭で理解していたつもりでしたが実際ほんの少しだけでも足を踏み入れてみると、本当の意味で「物を大切にしたい」と思えたし、「どういう物を選びたいのか」ということを改めて感じられた気がしています。ものに対する想いと、そんな背景を持つセーターをベーシックに日常に取り入れてほしいという想い、一時の気分ではなくて長い年月をかけて大切に丁寧に伝えていくこと。様々な思いを込めてこの秋冬シーズンからSOLNORDの展開を始めます。

 

今回MINGでお取り扱いをするこのSOLNORDのセーターは、作れる着数が限られています。というのは編み手が少ないということはもちろんですが、全ての作業に同じことが言えます。セーターとして活用ができる良質な羊毛の量には限りがあり、そしてその毛を洗う人、梳かす人、紡ぐ人、編みたてる人。たくさんの人が関わって一つの製品になっています。だからこそ作ることができるセーターの数にも限りがあるのです。

作られる数が限られているということから、少し季節は早いですが来週末6月16日(木)〜19日(日)の4日間でこのセーターのご予約会を行います。基本的にモデルはベーシックなかたちばかりですがそれぞれのモデルにさりげない魅力がありますので、ぜひこの機会に一度お試しいただきたいです。あの羊毛がこんなプレーンなベーシックなセーターになったんだ、ときっと何か感じていただけると思います。

次回はニットのラインナップを詳しくご紹介します!

MING 徳永

“SOLNORD” ORDER FAIR.
2022.6.16(thu)-19(sun)


item:  V-neck / Crew-neck / Mock-neck / Turtle-neck / Cardigan
size : 0/1/2/3/4
color : Natural / Natural Gray
price : ¥38,000〜¥42,000 +tax

 

この秋冬シーズンからMINGでお取り扱いを開始する北海道羊毛のセーター『SOLNORD(ソルノール)』。こちらのセーターは作れる数が限られているということから、少し季節は早いですがご予約会を行います。基本的にモデルはベーシックなかたちばかりですが、それぞれのモデルにさりげない魅力がありますので、この機会に北海道羊毛のセーターの魅力を感じていただければ幸いです。
※商品価格の50%先払い制。商品のお渡しは9月頃を予定しております。

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