COLUMN

-16

2022.07.28

MING × Kenta Yamamoto

出会ってしまった!!と思う瞬間ってありますよね?それは人でも物でも自分が頭の中で思い描いていたことが現実になった瞬間でもあると思うのです。昨年の9月に千歳でポップアップを開催していた時に彼と出会ったのが事の始まり。

「友人にMINGのポップアップ好きそうだから行ってみなよ!」と言われて来ました!と話す彼はキャスケットを被り、ワークジャケットにあまり見たことの無い雰囲気のパンツに靴はポールハーデン。その風貌からひと目で洋服好きな方だなというのが伝わってきた。中でもヨーロッパのミリタリーやワークウェアが好きだと楽しそうに話していたのがとても印象的で、洋服が好きすぎて自分で縫っていると言う。その日に被っていたキャスケットとパンツも自作だそうで、その雰囲気の良さからてっきりビンテージ物だと思い込んでいたので、その完成度の高さには本当に驚いた。

すっかり彼と意気投合した僕は、とある日彼のアトリへに遊びに行くことになった。趣のある平家がアトリエで、予想通り彼の琴線に触れた古いものが沢山並んでいた。中でも一際時代を感じさせるミシンが目に留まる。あまりにも年代物の為、恐らくディスプレイで実用はしていないだろうな?と勝手に判断していたのだが、何やらこのミシンが彼の相棒らしい。未だにこんな古いミシンで洋服を縫っている人を僕は知らないし、そもそも動くのかな?というのが本音だった。彼の手元に来た時はやはり故障していたそうで、自ら直すところから着手したと言う。その熱意にはただただ尊敬するばかりだ。こうして彼はこの1927年スコットランド製シンガーのミシンを使うようになったのである。

    

古い時代の物をその時代と同じ作り方や同じ条件で作ることに楽しさを感じると話す彼。それは当時の人々の考えや生活を紐解くような作業で、興味のない人にとっては理解できないことかもしれないが、だからこそ彼の作る洋服には商業的な曇りが一切ないように感じた。きっと彼は古き時代の人々の意志を現代の人々に伝えるのが役目なのかもしれない。

  

そんな彼のひたむきな姿には、ただただ心が打たれるばかりで、何か一緒に物作りをして、こんな人がいるよ!と言うことを皆さんに知ってもらいたい。そう考えるのはごく自然なことだった。

今の時代、ファストファッションのように安価な物でも、作りがひどい不良品のようなものはなかなか無いと思う。安いものでも作りはそこそこ良いし、だったら物を買うときの決め手ってなんなのか?と考える。どんな人がどんな思いで作っているかだったり、作っている人の人間性や顔がわかるだったりと、家畜や野菜の生産者などと一緒でどんな分野でも同じようなことが求められている気がしている。

そんなこんなで最近は生地や材料を彼のアトリエに届けに行く機会がもっぱら多くなった。要件が済んだ後もついつい長居してしまい、気づけばいつも2~3時間は洋服のことだけを話している。もはや中学生の部活帰りのようだ笑 でもこの時間が本当に楽しくてたまらない。

彼も僕も同じ30代半ばの同世代。まだまだこれからではあるけどそろそろ今までインプットしてきたものをアウトプットして、心の底から好きだと思える事にとことん真正面から向き合ってみたい。そしてその楽しさを洋服だけに止まらず色々な分野の人と繋がり、分かち合い、みんなで人生を楽しみたいと強く願う。

夜な夜なそんなことを考えている僕たちの新しい取り組みを、皆様にも楽しみながら見守っていただけたら嬉しいなと思うのです。

まずは、小さなバッグからリリースです。詳細はまた明日!!

MING × kenta yamamoto / First Aid Bag

Copyright © MING. All Rights Reserved.