COLUMN

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2022.12.18

私にとってのBlack Moleskin

ブラックモールスキン。洋服屋で勤めていた頃からよく目に耳にする単語だった。どんな作業にも耐えられそうないかにも丈夫そうな武骨なワークジャケットや、あたりが出て雰囲気のよいヴィンテージ、古い写真集で目にしたリアルにワークウエアとして使われている労働者たちの写真。ブラックモールスキンとはそういうイメージだった。自分にとってブラックモールスキンとは、、、正直なところ今まであまり手に取ることのなかったアイテムだ。それはなぜだろう?たぶん自分がリアルに着る姿が想像できなかったからだと思う。ぼんやり興味はあるけど、硬いワークジャケットは肩が凝りそうだしコツコツ育てていくのもちょっと苦手だし、ブラックという色自体手に取ることがなかなか無かった自分にとってリアリティのないアイテムだったのだろう。

MINGではブラックモールスキンをエプロンの生地で使用している。私自身今までほとんど手にしてこなかったこの生地をなぜオリジナルのエプロンで使っているのか?というと、エプロンというアイテムにこそこの素材の魅力を発揮するんじゃないかと興味が湧いたからだ。袖を通して着るジャケットではなくてエプロン。ガシガシと様々な作業でリアルに使うアイテムだからこそ、この生地を実際にワークウエアで使ってみたいと思った。数々の労働者たちを支えてきたというこの生地の本当の魅力を自分自身で感じてみたかったという思いもある。

 

ブラックモールスキンのエプロンを実際に色々な作業で使ってみると、やっぱり素晴らしいワークウエアの素材だということを改めて感じた。そして私自身この素材がとても好きになったのだ!

その理由の一つはまず生地の風合いの変化。未洗いの状態だとツルッと少しテカリがあるけど使うほどに起毛感が際立ってきて手触りもふっくらしてくる。特にMINGのエプロンに使用しているこのモールスキンは、ガシガシ地厚なタイプではなく少しライトな扱いやすいモールスキン生地なので、軽いけどモールスキンならではのタフさや風合いの変化をしっかり感じることができる。

(生地云々ではなく肩紐があるエプロンはそもそも肩が凝るから使えない、という人は多いと思うのだが、このエプロンは肩が極力凝りにくいようにウエストはベルトで絞る仕様にしている。ウエストでしっかり絞って固定すると肩紐が首にかからないので肩が凝りにくい。)

(左:私物)(右:未洗いの新品)

こうして写真で比較するとなんともわかりにくいのだが、ポコポコ凹凸が出てアタリが出てきた感じがとてもかっこ良いと思っている。履き育てているデニムにアタリが出てくるとテンションが上がるみたいに、このエプロンもそんな高揚感がある。

 

当時のワークウエアには、決して経年変化が格好良いからという理由で使われていた生地ではないはずだ。作業に適しているという理由で使われていたであろうモールスキン。装飾のためではなく実用のために。人々が生活の必要のために工夫をし、機能性を追求し、長い年月をかけて繰り返し伝承されてきた生地。リアルに道具として使われた結果、その人の体に馴染みその人だけの経年変化をした。まさに私たちMINGが思う【民具】の実用の美だ。

 

これはこのモールスキンだけではなくて、MINGもう一つのエプロンの生地”コットンツイル”にも言えることだ。日常でタフに使う道具は道具としての機能性が十分にあるからこそで、特にワークウエアは生地選びが一番重要なんじゃないかと私は思っている。

やっぱりワークウエアは使ってなんぼ。日々私たちもMINGのエプロンを使うにつれて、ワークウエアに大切なことが少しづつ実感できている気がする。使うにつれて劣化するのではなく経年変化もそのものの魅力になるようなモノづくりをしていきたいと思う。と同時に我ながらなかなか良いエプロンだなぁと使い込んだエプロンを眺めるたびニヤニヤとしてしまう笑

生地の経年変化やエプロンを壁にかけている時の佇まいはそれはもうただの自己満足なのだが、自己満足できないモノはもう増やしたくないのだ。

 

MING 徳永

 

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MING / Winery Apron (Moleskin Black)
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