最近の北海道の夏はなかなか暑い。道外の暑さには比べものにならないとは思うけど。暑さと湿気のある夏の気候を少しでも快適に過ごすべく、ここ数年は夏の装いについて考えることが増えた。実際自分たちのワードローブも冬の重装備はかなり充実していて、厳しい寒さも耐えられるようなアウター、セーター、ウールの肌着に靴下、マイナス気温でもへっちゃらに過ごせるようなヘビー素材の衣料品はたくさん揃っているが、夏場の涼しい衣料品が圧倒的に不足しているのだ。どうせ暑い夏は2〜3週間くらいで終わるしなんとかなるか、と今までなんとなく夏をやり過ごしていたけど、北国の夏もそうはいかなくなってきた。
夏にこそ着たいシャツ、それはやっぱり涼しげなリネン素材。そして夏ならではの彩りが綺麗な洋服が着たい!!どんなデザインのシャツが良いかは随分と前から決めていた。自分達が以前から気に入って愛用していたアメリカ製のウールシャツを元に、ピンク、イエロー、アイスブルーとイメージにぴったりな綺麗な発色と、凹凸があって涼しげなリネンシャンブレー素材に出会うことができたことで、新作のシャツ製作は始まった。
きっと白やネイビーを作った方が良いんだろうなぁと思いつつ、自分達が”これが着たい” ”どうしても外せない!”と思った3色展開にすることにした。
MINGで定番として作っているものは、イギリスのコットンツイルやヘリンボーン織りのデニムだったり、デザインもミリタリーやVintageのワークウエアをベースにしていたりと、ヘビーでタフな素材使いが多く、どちらかというと土臭くて無骨な空気漂う洋服が多い。女性の自分が言うのもなんだが、かなり男前な洋服が多いと思う。自分達がそういうタフで無骨なギア的な洋服が好きということもあってそういうラインナップになっているのだが、実は無骨で土臭いものだけではなくメキシコの建築家ルイス・バラガンのような色使いが私自身大好きだ。パッと華やかになるような目に鮮やかな彩りにとても心奪われるのだ。
乾いた大地にパッと映えて力が漲るような配色や、美しい彩りでありつつ生活に自然に馴染むような心地よさ。黒や紺、オリーブやカーキ、グレーやベージュは身につけて落ち着く色合いではあるけど、やっぱり私たちはベーシックで落ち着いた色味のアイテムだけでなくて、目で見て楽しくなるような発色が美しいものも大好きだし、ビビッと力強い発色ではなくとも身の回りの自然の中にさりげなく咲いている野花のような素朴で優しい彩りにもとても心惹かれる。そんな色彩を普段の装いにも自然に取り入れたいと思う。
シンプルなリビングにお花を飾るように、華美ではないけど身につけるとちょっと気分が華やぐような、そんなさりげなく彩りを取り入れられるような大人のリネンシャツ。ミリタリーアイテムにミリタリーアイテム、ワークウエアにワークウエア、ネイビーにネイビー、デニムにデニム、そういったアイテムの組み合わせもTOPによってはもちろん好きだけど、夏の日差しの元ではそうじゃない。ミリタリーパンツに綺麗なピンクのシャツ、ワークパンツに爽やかなアイスブルーのシャツ、チノパンにイエローのシャツ、そんな装いを楽しみたい!!
MINGのチノパン、このリネンシャツ、それから間も無く入荷するチノパンの色違いのカーキ。これらは間違いなくこの夏、自分達の定番スタイルになる。
text 岩谷麻美