MINGでは、日常の道具として使える物をテーマにオリジナルの製品を作っています。それが例え衣類だとしても、そこに道具としての機能性やそれに伴ったデザインが宿っているものをベースにしたいと常々考えています。昔から好きで好きで、こればかりは一番最初に作ると決めていたモデルがあります。それが今回のPotter Smock (ポッタースモック) です。元となるのは、その昔イギリスの漁師達が着ていた前後のデザインがなく、身頃に袖を取って付けたかのような単純な作りのワークウェアー。スモックというとヨーロッパ各地で、その原型と見られる様々なデザインのものが存在するのですが、特にこのイギリスの漁師達が着ていたものになぜか惹かれる。単純な作りではあるものの、他にはない独特なキャラクターがなんとも病みつきになるのです。その歴史を掘ってみても興味深い部分は沢山あるのですが、その話はまた今度。それよりも個人的にグッとくるのが、漁師達の間で広まっていたこのスモックがその後、20世紀のPotter=陶芸家たちも愛用していたという事。
中でも、浜田庄司という日本人と、ハンス コパーというドイツ人がこのスモックを着ていた事が私の中では飛び跳ねたいくらい嬉しかったことで。そして何か点と点が繋がったような気がしたのです。この二人は、生きていた時代もそこまで変わらず、職業も同じ陶芸家なのですが、作風は全くと言っていいほど対照的。そんな二人がなぜか同じスモックを着ていたのです。思考は違えど道具に求めるものは一緒という事なのでしょうか?そんな問いかけに対して、当時はイギリスで流通していて手に入れやすかったからだよ。と単純な答えも返ってきそうですが、やはり自分が魅力的だなと思う人物が着ていたとなると、それだけでこのスモックに興味深いストーリーができてくるわけで、たまらず好きになってしまうのです。ということで私の中では、陶芸界の巨匠と天才が認めた”道具としての衣類”という事で、リリースに至りました。
そんなPotter Smockは、ネーミングこそあまり聞きなれないのですが、既に完成されたデザインと捉えているのでベースとなるスモックから大幅に手は加えていません。その代わり、当時の粗野な作りを縫製や生地でアップデートさせ、さらに自分達がこうだったらいいなと思っていたことをプラスしてみました。
あまりこのタイプのスモックには使われないのですが、縫い合わせを手間のかかる折り伏せ縫いにして、丁寧かつ丈夫に仕上げています。また、本来は前後同じボックスシルエットの裾ですが、前だけを丸みのあるラウンドに変更し、シャツ感覚でも着られるようなデザインへ。フロントのポケットは、A4サイズがすっぽりと入るほど大きいので少しの荷物なら鞄いらずで便利です。
カバートクロスの杢目が美しいです。
今回使用しているカバートクロスは、ウール100%ですが梳毛糸という繊維が引き揃えられた糸を使用しているため、毛羽立ちが極めて少なくサラリとした着心地で、チクチクとした肌触りはほぼ有りません。見た目も一見ウールに見えないので、真夏以外の3シーズンで使って頂けると思います。カラー展開はネイビーとブラウンの2色。
インナー次第で着こなしの幅も広く、中間的な季節はライトアウターとして。真冬はインナーにニットでレイヤードを楽しむも良し、この上からばさっとコートを羽織ることも可能な万能アイテムです。
また、見えない部分ではありますが、今回の製作にあたり札幌の縫製工場の方と何度も打ち合わせとサンプル作りを重ね、やっと製品になりました。「ここは縫う時に大変でした〜」だったり「ミシンではできなかったから手作業で縫いました!」など縫製工場の方には沢山のワガママを聞いて頂き1つ1つ丁寧に作って頂きました。その甲斐あってどこをとっても素晴らしい製品に仕上がりましたので、是非そんな背景も頭の片隅に浮かべながらご覧いただけると嬉しいです。
※MING / Potter Smock(Navy)
→https://minghokkaido.thebase.in/items/57932990
※MING / Potter Smock(Brown)
→https://minghokkaido.thebase.in/items/57934501
今回のイベントでは、このWool Covert Cloth を使用したスモック2型とエプロンを共に販売いたします。と同時に online shop でも1月20日11時〜販売を開始いたします。遠方のお客様もぜひご覧くださいませ。
“MINGのAPRON & SMOCK 販売会” in Sapporo
日時 : 1月20(木)〜1月23(日)
営業時間 : 11:00〜18:00
会場 : MAGAACY @magaacy_sapporo
住所 : 札幌市中央区北1条西27丁目2-15
∴ (ユエニ)ビル1F / B1