洋服には、季節感を演出してくれる素材 と、季節に合った素材 があると思う。だが、私たちが住んでいる北海道では、時にそこに誤差が生まれる事があるような気がするのです。世間的には3月といえば新緑が芽吹き桜が咲き始める春というイメージだと思うのですが、北海道は木々に葉はなく緑はまだ雪の下、なんら冬と変わらない景色なんです。調べたところ札幌の3月の平均気温は-4°〜+4°、に対して東京は+5°〜+14°と、最低も最高も10°くらいの差があるんですね。なので北海道に限らずですが、寒い地域の方は春でもウール着てもいいんじゃないでしょうか?というのが、個人的にアパレルの仕事をしていてずーっと思っていたことでもあるんです。最近はメリノウールの下着などがアウトドアをするしないに限らず、普段の日常着に良いと見直されてきて、その波が少しづつ来ているような気がします。それにヨーロッパではリネンを夏に、ウールを冬に、という概念にあまりとらわれていなく、その機能性に合わせて使い分けています。なので、そろそろ日本も北から南にかけて地域特有のファッションが根付いてもいいんじゃないだろうか?と言う経緯で、その第一弾として私たちMINGでは、これからの季節にウール素材のアイテムをご提案したいと思います。
今回ウール製品を提案するにあたり、まさにこれだと思える素敵な生地に出逢いました。それがこのCovert Cloth (カバートクロス)です。カバートクロスはその昔、狐狩りのハンティングに使われていた素材であり、Covert=隠れ場所という意味が由来です。ハンターたちが獲物に気づかれぬよう藪の中に身を潜めた時に丈夫で防水性のある素材として作られた、なんともカントリーテイスト溢れる素材です。
古くからイギリスのカントリージェントルマンが集う[Cordings]や[Burberry’s]などでも好まれていた英国クラシックど真ん中な生地ですが、杢の入り方や独特な光沢感は、都会的であり現代の洋服と合わせてもなんら違和感がなく、使い勝手の良さも決め手の1つでした。個人的にこのカバートクロスのような伝統的な素材にめっぽう弱く、いつかこの素材であんな洋服作りたいなと長年の構想が形になったシリーズでもあります。
加えてお伝えしたいのが、まだまだ意外と知られていないウールの特性です。
・ウールは暖かく冬に着るのが一般的と思われがちですが、繊維の中に沢山の空気を含む事ができるため、保温性と遮熱性にも優れます。なので冬は暖かさを保ち、意外にも夏も涼しく温度調整してくれる素材なのです。
・ウールには、水分を吸収したり放出し適度な水分量を保つ優れた除湿能力があります。汗をかいても、素早く吸収・発散をしてくれ、汗をかいてもベトつきにくく常にサラッとした着心地を保つので、運動量の多いワークウェアや着る頻度が高い日常着に向いているのです。
・ウールは、ニオイの原因となる細菌の繁殖を抑え防臭消臭効果があります。なのでコットン製品などでよくある嫌な生乾き臭も全くありません。個人的な実体験として思うのは、友人と楽しく過ごした飲み会の翌日、着ていた服を嗅いでうわっと思ったことはありませんか?コットンは絶対に洗濯しないとその嫌な匂いは消えませんが、ウールはそのまま2日間ほど放置するだけで匂いが勝手に無くなります。これはウールの機能性を一番身近に感じる出来事だったかもしれません。
その他、シワになりにくい、形崩れしづらい、色落ちもしにくい、など製品の魅力を保つのに優れています。本来は、経年変化を楽しむのがワークウェアの醍醐味だったりもしますが、今回のカバートクロスのシリーズに関しては、頻繁に着ても生地がヘタれにくいので、当初の品の良さを長く味わっていただけたらと思っております。
ひつじが長い年月をかけ、進化を繰り返し生み出した天然素材ウールの偉大さをぜひ体感してみてください。
今回のイベントでは、このWool Covert Cloth を使用した上記2型をエプロンと共に販売いたします。同時に online shop にも掲載予定ですので、遠方のお客様もぜひお楽しみいただけたら嬉しいです。
“MINGのAPRON & SMOCK 販売会” in Sapporo
日時 : 1月20(木)〜1月23(日)
営業時間 : 11:00〜18:00
会場 : MAGAACY @magaacy_sapporo
住所 : 札幌市中央区北1条西27丁目2-15
∴ (ユエニ)ビル1F / B1