MINGでは食器類は陶器や金属系のものを好きで扱っているのですが、いつかは気に入るものがあればガラス製品の展開も増やしたい!と漠然と考えていたのでした。そんなある時、ドイツ製のJenaer Glas(イエナグラス)という素敵な耐熱ガラス製品に出会ったのでご紹介したいと思います。
このJenaer Glas(イエナグラス)を知るきっかけは、お店のカウンターに置くデスクランプが欲しくて調べていた時でした。デスクランプ→ドイツ製→バウハウス→バウハウスデザイナー、といったように気がつくと当初調べていたキーワードから脱線しアイテムではなく当時のデザイナー達に興味が湧いてしまっていた。
バウハウスとは、第一次世界大戦後にドイツ中部の街ワイマール共和国に設立された美術学校のこと。そこでは工芸、写真、デザイン、美術、建築など総合的な教育を行っていました。実際に開校していたのは、1919年から1933年の僅か14年間ですが、その思想は現代美術に多大な影響を与えたと言われています。(バウハウスに関しては私が説明するのはおこがましいので気になる方は調べてみてください!)
そんな偉大な学校を卒業した※1ヴィルヘルムワーゲンフェルドというインダストリアルデザイナーが1930年代に生み出したこのシリーズ。詳しく調べてみるとカップアンドソーサーをはじめ、ティーポットやミルクピッチャー、プレートなど様々なアイテムが存在し、そのどれもが無駄のないデザインで機能的。まさに “Less is more=少ない方が豊か” というバウハウスの精神を受け継いでいる製品なのです。
本当に耐熱?と疑うほど薄い作りは職人の手作業ならでは。この薄さでありながら温冷両方に強く300度の熱湯にも耐えられるというから驚きだ。光に当てると波打つ影が手作りである証拠。個人的には手作りでありながら均一性の取れたミリ単位の技術とシャープなデザインは、ある意味機械ではなくアナログな手作業で作れる限界の美を感じさせ、なんとも眺めているだけで魅力的です。
底に押されたスタンプは西ドイツのマインツという地方を意味する。元々東ドイツのイエナに本拠地を構えていたガラスメーカーでしたが、戦後ベルリンの壁によって東西のどちらにも工場を構えたそうで、実にその背景も面白い。またこのイエナグラスの生みの親とも言えるショットさんという方は、耐熱ガラスを世界で初めて作った方だそうで、ある意味耐熱ガラスの由緒正しきブランドがこのイエナグラスと言っていいのではないかと思います。
今回入荷のカップアンドソーサーと、もう一枚プレートがセットとなったトリオと呼ばれるモデルは、1950年代の物で初代ヴィルヘルムワーゲンフェルドさんをオマージュした、後継者のハインリッヒロッフェルハルトさんという方がリデザインした物。初代の工業的な印象からより繊細にシャープにアップデートしされたデザインは、より洗礼された印象で見事に昇華されています。
カップの造形美もさることながら、ソーサーやプレートも波紋のように滑らかで美しい。
実際にお茶を注いでみるとやはり素敵だ。お茶がここまで綺麗に見えるのはその薄さと透明度の高さゆえ。普段の何気ないお茶の時間も自分自身が満足できる素敵な時間へと変えてくれるのを実感するのでした。
既に私たちもこのイエナグラスの虜で、他のバリエーションも気になっているので今後も力を入れて集めていこうと思っています。まずは定番アイテムでその良さを実感してみてくださいね!岩谷
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50’s Jenaer Glas / Cup&Saucer
50’s Jenaer Glas / Trio Set (Cup&Saucer&Plate)