COLUMN

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2021.06.25

つくも窯とスリップウェア(後編)

はれてつくも窯に初訪問を果たすことができた僕たちMINGは次に工房を見せて頂くことになりました。正直なところ今まで洋服畑だった僕たちはこう言った手仕事の作業場というものをあまり見たことがない。それだけにまず驚いたのが道具の数だった。竹を加工したものやヘラのようなもの、中にはどうやって使うのかさっぱり検討のつかないようなものまで。色々な形の小さな道具たちが雑多に並んでいて素敵な空間が広がっていた。リアリティー、本物感とでも言うのだろうか?作ろうとしても作れない”味”がなんとも雰囲気を醸し出していた。そして、物作りに対して日々自問自答し試行錯誤し真っ直ぐに向き合っている十場さんの姿勢が見えたような気がした。

実際に作る様子も少し見せてくれた。僕の中では職人さんや作家さんというと少し気難しく頑固なイメージだったが十場さんは真逆で、聞いたことに対してなんでもいいですよ!と言ってくれるとてもふところの広い方でした。

工房で作陶する十場天伸さん

スリップウェアは、泥漿状(砂と粘土を混ぜたもの)の化粧土を用いて装飾することに由来し、ヨーロッパや世界各国で作られていた古い時代の陶器の1種。その歴史は紀元前5000年に遡るそうで、作り方も他の陶器とはすこし違うのが特徴。一般的な陶器はろくろで形を成形した後に模様を描いたりするのですが、スリップウェアは逆で陶板と呼ばれる粘土の板に先ほどの化粧土で模様を描きその後型にはめ成形し焼き上げます。

僕たちも初めて目の前でスリップウェアを作るところを見ることができ、それはもう感無量の一言でした。今までは製品になったものを見るだけでしたが、それまでの過程を知ることでよりスリップウェアの魅力を理解した貴重な体験となりました。感動に浸っているのも束の間、なんとこの場で買い付けしていいですよ!と十場さんの一言。頭の中ではドンドンドンと花火が打ち上がるほど僕たちのテンションは上がるのでした。笑

お言葉に甘え、人生初のうつわバイイングの始まりです。使い勝手やお客様の顔を思い浮かべながら1つ1つ選ぶ徳永。

ただひたすらに直感の元、大きな鉢やピッチャーを選ぶ僕。皆さんあまりそこは見ないですよと言われながらも、そういうところばかり見たくなってしまう性は前職譲りのものだろうか。

そうこうしているうちに気づけば3時間あまりが経過。こうして約120点の器を無事買い付けることができたというわけです。この時買い付けた器たちは、4月の末に開催したイベントで販売したものになりますので、すでに皆様のお手元に嫁いで行ったものも多いのではないでしょうか。お手元にある器を見ながらこんな場所で作られた器なんだなと思ってもらえると嬉しいです!!

肝心な窯の写真はというと…もちろん見せて頂きましたが、実物を目の前にするとカメラを向けて良いものではないような気がして写真を撮るのはやめました。初対面ということもありますし、まだまだこれから器の勉強や十場さんたちとの信頼関係が深まった時に撮影させていただこうと思いますので、窯の写真はこれからの楽しみということで。帰り道車の運転をしながら答え合わせをした僕たちMING。なにより、十場さんそして奥様の人柄がなんとも魅力的だったし、十場さんの作品は内面のおおらかさと力強さが大いに反映した十場さんそのものだと感じました。この素晴らしい器をより1人でも多くの北海道の方たちに見てもらいたい。そして長く愛されるように伝えていきたいと心から思ったのでした。

※来月7月にはつくも窯2回目の買い付けを予定してますので、今後もぜひこのつくも窯を注目していただけると嬉しいです!! 岩谷

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