COLUMN

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2025.03.31

チノパンと私

チノパンについて改めて考えてみる。なぜ自分はチノパンに惹かれるのだろうか。歴史や細かなディテール云々が好きというよりチノパンを履いている姿が好きというか、チノパン姿がなんだか自分でしっくりくるのだ。自分の子供の頃を思い出してみるとチノパンに赤のネルシャツに赤のニューバランスを履いて赤のマウンテンバイクに乗っている姿を思い出す。きっと昔の写真の記憶がそうさせているのだと思うけれど。そう、まさにこの写真の格好。

この頃から約30年が経ち、何周も回って今も同じような格好をしていることに驚く。洋服に興味を持ちファッション誌を毎日読み、学生時代はやたらと派手な古着を着たり、服飾学校に入ったら個性あふれる友人たちに感化され、変わった着方をしたり洋服をアレンジして着ていたこともあった。学生時代のある時から藍色の魅力に取り憑かれバイト代を貯め藍染のシャツやジャケットを買い、デニムにもハマり、となると自ずと白シャツを着るようになり、となるとチノパンももちろん好きになった。個性的な派手派手ファッションを経て、いつのまにか白シャツにデニム、柄シャツにチノパン、というような格好に落ち着いた。思い返すとその頃から今まで約20年好きなものは変わっていない。当時大好きだったブランドに就職しその後セレクトショップで長く勤める中で莫大な洋服を見て買って着てを繰り返した。その甲斐もあって(!?)ざっくりとしたチノパン好きから、明確に自分はこれが好きだと思えるチノパンにたどり着いた。

MINGをスタートした当初(約5年前)からいつかは必ず作ると決めていたオリジナルのチノパン。今までVintageからブランドものまで色々と履き、私と夫が共通して一番好きなチノパンである米軍のチノをベースに、こうだったら良いという理想を詰めこんだMINGの定番チノがようやく完成した。”美シルエット”じゃなくていいからズドンと太いシルエット。しっかり太いけどお尻周りがダボダボにならないように腰回りはすっきり。少しハイウエストでお尻が上がって綺麗に見える。夏場のシンプルな格好でも良い塩梅で存在感がある。長く履きこむと風合いはテロんと柔らかく、色もこすけて白っぽく抜けていくような生地をチョイスし、完成から約2ヶ月と短い期間ですが洗いと着用を繰り返すほどに、Vintageとそう遜色ない良い味が出てきたと思う。そして何より大人が自然体で穿けるチノパンになったと思う。

実に細かなこだわりの詰まったチノパンなのだが、一見するとその魅力はとても分かりにくい。良い意味で地味で普通に見える。しかし、そう、目指したのは派手ではなくとも長く履き続けたいと思ってもらえるようなベーシックな1本だ。白シャツやネイビーのジャケットにチノパン、80年代90年代はまさに自分の生まれ育った時代なのでその頃を感じさせる父親世代のアイビーな着こなしは、いつまでも変わらず好きな格好だ。きっと自分のDNAに組み込まれているのだと思う。最近はmont-bellのロンTeeとシンプルに合わせるのが気に入っていて、可愛いデザインのブラウスと合わせたスタイルも大好き。やっぱりチノパンはベーシックで普遍的な魅力があるアイテムだ。

 

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